ビジネススキル総合試験

ビジネススキルテストでは、社会人として持っておかなければならない知識・技能を測定することができます。テストとして利用するだけでなく、問題演習を通して効果的に学習を進めるといった使い方もできます。

出題範囲

ビジネススキルテストの特徴は、出題範囲が非常に幅広いことです。優秀な社会人・ビジネスマンは、自身の専門分野はもちろんのこと、専門以外の領域についてもその分野の人と会話ができる程度で様々な知識を持っている必要があります。

出題分野 詳細
経済学 ゲーム理論、年金、パレート最適
会計学 変動費、固定費、損益分岐点、減価償却
組織 会社部門、部署、職階、業種、業務
法律 会社法、金融商品取引法
企業統治 コーポレート・ガバナンス、SDGs、ESG
マーケティング ABテスト
IT 情報システム、ERP、CRM、クラウド、オンプレミス、SaaS
ソフトスキル 仮説検証、ロジカルシンキング、ケース

サンプル問題:

本試験のサンプル問題をいくつか掲載しています。

Webマーケティング ABテストの目的

問題:
ABテストを実施する主な目的は何ですか?

選択肢:

(a)
すべての利用者に対して同じデザインや機能を提供する

(b)
利用者からのフィードバックを待つことなく、製品の改善を行う

(c)
2つ以上のテストパターンを比較し、最も効果的なものを選ぶ

(d)
製品のバグを効率的に見つける


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答え
解説
ABテストは、統計的な手法を用いて、ウェブサイトやアプリケーション、広告などの最適化するテストです。ユーザーを無作為にAとBの2つのパターン(実際には3つ以上でも良い)に分け、どちらが目標指標に対してより効果的であるかを判断します。

したがって「2つ以上のテストパターンを比較し、最も効果的なものを選ぶ」が正しい回答になります。

ゲーム理論 囚人のジレンマ

問題:
ゲーム理論における有名な具体例としてよく知られている、「囚人のジレンマ」を表している状況として、最も適切なものは次のうちどれか。

(A) 2人のプレイヤーが互いに裏切るか協力するかを選ぶ状況で、両者が協力すれば最善の結果が得られるにもかかわらず、個々の利益を追求してしまうために裏切る選択がなされてしまう状況

(B) ある資源が共有されている状況で、その資源の利用方法について、個々のプレイヤーが自分の利益を優先した方法を選択する状況

(C) 2人のプレイヤーが石、紙、はさみのいずれかを選び、相手の選択に勝つか負けるか引き分けるかが決まる状況

(D) 複数のプレイヤーがそれぞれの利益を最大化するように行動するという状況

選択肢:

(a)
A

(b)
B

(c)
C

(d)
D


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答え
解説
囚人のジレンマとは、ゲーム理論分野でよく出てくる有名な問題です。

2人の囚人が互いに裏切るか協力するかを選ぶ問題で、全体最適の観点からは両者が協力した方が合理的な状況であっても、それぞれが個人の利益を追求した結果、裏切る選択がなされてしまうというものです。

以下のイメージを見ると理解しやすいです。

このイメージのマトリクスは、利得行列(payoff matrix, ペイオフマトリクス)と呼ばれることもあります。利得行列では、各プレーヤー(囚人A, B)の戦略と、その結果に対応する結果を見ることができます。

この利得行列から、次のことがわかります。
(1)両者が自白しない(協力する)場合、どちらも懲役1年で、全体最適である。
(2)片方のみが自白する(裏切る)場合、片方は無罪で、もう片方は懲役10年となる。
(3)両者が自白する(裏切る)場合、どちらも懲役5年となり、両者が協力したときも悪い結果となる。

囚人A, Bがお互いに意思疎通できない別々の部屋で尋問を受けているケースを想像してみてください。

あなたが囚人A,Bを観察する立場だとしたら、「お互い自白しないで(協力して)懲役1年にした方が合理的である」と思うかもしれません。これは全体最適の観点では正しい意見です。

しかしながら、あなたが囚人の立場だとしたらどうでしょうか。もう片方の囚人が裏切るかもしれないと思うことでしょう。自分が自白しないで相手だけ自白したら、自分は懲役10年になるし、もし自分が自白して相手が自白しなかったら、自分は無罪になります。だったら、あなた個人の利益の観点では「自白する(裏切る)ほうが最善の選択である」という結論になることでしょう。

このように「2人のプレイヤーが互いに裏切るか協力するかを選ぶ状況で、両者が協力すれば最善の結果が得られるにもかかわらず、個々の利益を追求した結果、協力したときよりも悪い結果になる」状況のことを、囚人のジレンマといいます。

したがって、選択肢Cが正解となります。

この理屈は、ビジネスシーンにおける価格競争や金融機関の金利引き下げなどについても説明することができ、ゲーム理論や経済学において非常に有名な問題として度々登場するものです。

ビジネスの世界では、契約や取り決め、産業団体や業界標準のようなものを設定したり、裏切る選択を取りにくくするために信頼関係を構築したりするといった施策を取ることで、囚人のジレンマに陥るリスクを減らす努力が行われています。

<その他の選択肢>

「ある資源が共有されている状況で、その資源の利用方法について、個々のプレイヤーが自分の利益を優先した方法を選択する状況」
→ このような状況のことをナッシュ均衡といいます。ナッシュ均衡とは、すべてのゲームの参加者が、他者の戦略を考慮しながら、自らの利得が最大となる最適な戦略を選択し合っている状態のことを指します。

囚人のジレンマにおいては、お互いが裏切る選択をし合っている状況を、ナッシュ均衡と捉えることができます。

「複数のプレイヤーがそれぞれの利益を最大化するように行動するという状況」
→ この状況についても、ナッシュ均衡と考えることができます。

「2人のプレイヤーが石、紙、はさみのいずれかを選び、相手の選択に勝つか負けるか引き分けるかが決まる状況」
→ これはじゃんけんです。じゃんけんのような、循環的に相互作用が存在するゲームや状況のことを3すくみの関係と言います。単純な概念ではありますが、ゲームデザインや戦略の選択において、バランスや多様性を生み出す要素として非常に重要な要素です。

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